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COLUMN
KUNII ARCHITECTS & ENGINEERS. INC
■僕の好きな建築家 吉田鉄郎先生

僕の師匠の師匠である。酒に酔うと数回聞かされた吉田鉄郎先生の逸話をかきたいと思う。吉田先生の事務所に建築大学院の学生が手伝いにきた。お寺かどうか忘れたが、スケールの大きな日本建築物だったと思う。柱だけをプロットする仕事を手伝っていた。学生は真剣に柱の■を入れていた。総数で数百以上あったという。何日かかけてできあがった図面をチェックしているとき、吉田先生がちらっと図面を見て、烈火のごとく怒られたそうである。「プロポーションが違う。柱がたらない。それが分からずに建築家をめざすのか」と。学生達は青くなり数時間かけて本数を数えると、2本だったと思うが確かに足らない。柱が少ないことを一別しただけで瞬時に見分ける吉田先生のすごさ、建築家として生まれべくして生まれた人間の建築に対する情熱・審美感には驚くべきものがある。この逸話を聞かされたとき、建築に対する怖さが体を駆けめぐったことを覚えている。
坪井先生がぽつりともらした言葉がよみがえる。「國井よ、こんなすごい世界に入ってやってゆけるのか。もって生まれた才能がなければやってゆけない世界なのだよ。それでも建築家になりたければ、最低でも、建築に対して真摯に向かうべきである。それができないで設計をしているとすれば、世の中の罪悪だ」と。
この逸話が本当かどうか分からないが、本物の建築家とはこのような才能を生まれながらに持っているものなのかもしれない。凡人には分からない世界がある。
國井聡建築設計工房+アトリエ・δ1(デルタワン)